SALARY BAY 全曲解説


1. Spinner


●とても緊張感のあるオープニングですよね。シンプルですが、高揚感があって。

YANA:そうだね。vez的というか、ミニマルな曲ではあるね。リズム・パターンも延々とフィルもいれず、同じパターンを繰り返してて。俺の中では邪念を一切排除してのアプローチというか。そういう気持ちでやりました。

高木:単純に1曲目としてかっこいいじゃん。YANAさんのスネアが入った瞬間から、鳥肌が立つじゃん。だからアルバムの始まりとして良いなぁと思って。

●MVにもなっている曲ですよね。

ASAKI:映像には期待してほしいね。ちょっと今までと違うテイストのMVではあるから。

YANA:パイロットだよね、このアルバムの。そういう意味では、アルバムのツアーを牽引していく曲になるのかなって。だから毎回気合入れてやろうと思います。

飯田:アルバム全体を体現している曲は「Spinner」なのかなって思うんだよね。熱とかパワーがドカンと出てるわけじゃないんだけど、そのドカンとなる直前を楽しんでるというか。その爆発する直前というのがいちばんパワーがたまるタイミングというか。なんかアルバム全体がそんな感じなんだけど、それをいちばん表現できてるのが「Spinner」かなって。

高木:あと延々長いノイズで終わってくじゃん。あれは最後まで消そうか消すまいか悩んだんだけど……。おかげで6分もある曲になっちゃった(笑)。

●でもあの余韻はかっこいいですよ。

高木:まあ、ハウリング番長としてはね(笑)。でもかっこいいよね。単純にそれに尽きるかな。

2. Dry hatred

高木:これはもうアレですよ。NIRVANAとHELMETかな。

●なるほど(笑)。でも今回そうしたバンドからの影響とか、そういうものを今まで以上にストレートに表現してますよね。

高木:だね。でもやっぱり簡単にはやりたくないじゃん。だからちょっと難しいことやったんだけど……みんなに怒られた(笑)。

飯田:そうそう。これ俺すごい難しかったの。レコーディングのとき何度も失敗して、何度も引っかかって、「もう一回!」って。ASAKIと「あれ難しいよね!」って話したりしてたもん。

高木:アサキチも言ってたね。「超困った!」って(笑)。

ASAKI:リズムがとにかくねぇ……キたよね(笑)。でもリフがカッコイイからしょうがないよね。

YANA:俺も大変だったよ。まあ、どれも大変だったけど(笑)。でも口ずさんだものをストレートにやっただけなんで、ドラム単体をとったらそんなたいしたことはやってないかな。でも全部が重なって活きるというか。活かし活かされあうところに醍醐味があるよね。

高木:そこは意地だよね。その意気込みだけ、2015年だね。2015年型のグランジ。グランジって言葉もどうかと思うけど(笑)。

●歌詞もそんな感じですよね。

高木:言葉の怖さというかね。「そんなこと言っちゃっていいの?」って。「先のこと考えてる?」みたいな。

●吐いたものの責任ってことですよね。

高木:そうそう。「大丈夫か?」って。「半年後には違うこと言ってんだろ」ってさ(笑)。

●それをこの音で言ってるから、痛烈ですよね。

高木:ほら、絶望から始まってるからね。でも、憎んでもなにも生まれないからね。そこがドライな感じというか。

●ギター・ソロもすごいですよね。

高木:アレ俺だからね(笑)。

飯田:ハウリング番長だね(笑)。

ASAKI:なにげに初ギター・ソロなんじゃないの? プリプロのときにフトシが弾いてて、「弾きたいんだろうなぁ」って思ったから、俺のソロはあえて入れなかったからね(笑)。

3. 目には目を その手に花束を

●再録されて、とてもライブ感があって生々しい仕上がりになってますよね。

飯田:ライブでやって成長した形がそのまま出てるんじゃないかと思うね。

YANA:正直すごい短い期間でのリ・レコーディングじゃないですか。でもライブで培ってきた肌触りとしては、あのときのものとは違うものができたかな。

●ドラムはオープニングがさらに迫力あるものになってますよね。

YANA:いやいや。でもよりフトシくんのイメージするものに仕上がってると思うかな。で、ずっとライブの1曲目でやってきた曲がこの位置にさりげなくあるっていうのも良いかなって。それでまた聴く感触が新鮮なんじゃないかなと思いますけど。

高木:実はね、シングルのときのフロアタムは俺が叩いてたりすんだよ。で、今回全部YANAさんやってるから、改めてYANAさんすげえなぁって(笑)。「俺よりうまいじゃん!」って思ったよ(笑)。それはだいぶリスペクトだね。

ASAKI:俺でいうと、実はこの曲のギターは録り直してないの、あえて。正直あのシングルのとき以上のプレイがまったく浮かばないんだよ(笑)。あれをいじったりすると、なんかいやらしくなる気がして。男気がなくなっちゃうなって。だから一切手を加えなかったね。

●とはいえ、すごく新鮮に聴こえるのはすごいですよね。

ASAKI:だよね。フトシの歌い方もちょっと変わっててさ。なんか前のより優しくなった気がするね。

●フトシさんの歌い方って、今回すごくバリエーションがありますよね。

ASAKI:あるよね。すごく言葉と感情を大切にして歌ってるなって。非の打ち所がないんだよね。

高木:今回は今までにないくらいがんばったからね。

●このアルバムにあると、歌詞の意味がより明確になっている気がします。

高木:歌詞のきっかけはBanksyだけどね。そういえばBanksy、ガザに行ってたんだよね。

●昨年ガザ地区に潜入していたときのドキュメンタリーが公開されてますよね。

高木:あのニュースはちょっと鳥肌立ったんだよね。単純にカッコイイなって思って。ロックにできないことをやってくれてるよね、Banksyは。でもそれだけじゃ俺は悔しいから、“目には目を持って”なのかな。

●そういうメッセージの曲ですよね。

高木:でも正直わかんないじゃん。目の前で家族が殺されたりとかさ。そういったことを経験したことがないし。それこそ今も国の状況が悪くて、明日食うものもないという人たちはたくさんいて。でもそんな世界すらわかんないじゃん。なったことがないから。だからなんとも言えないよね。

●現実に起きていることですけど、この眼で見ているわけではありませんからね。

高木:うん。だけど……やっぱりその手には花束を持っているほうが良い気がするんだよ。もしそんな経験をしたんだとしても。わからないけどさ。それを俺はうっすらと思うので。だから強く歌いたいのかなって。

●あえてこのアルバムに収録したんですよね。

高木:うん。柱にしたかったんだよ。「目には目を~」と「夜虹」を。今まで出したシングルの中から、この2曲をメッセージも含めて柱にしたかった。vezの在り方として。あとね、清人(DEMONS / 池袋CHOPの店長)がこの曲をすごい好きでさ。清人が褒めてくれたのはすげえ嬉しかったんだよな。清人の言うロック感というのはすごく信用してるからね。

4. Evil of cell

高木:この曲はね、今回のアルバム作りの中でも最初のほうに書いた曲だね。みんなにいちばん最初に聴かせた曲だと思う。なんかちょっとFOO FIGHTERS的な、わかりやすいアッパーな曲が欲しくてさ。結果THE USEDっぽくなっちゃったけど。

飯田:わりと早い段階でできた曲だよね。ポップなんだけど、俺的には意外といやらしいベース弾いてるんだけどね(笑)。

ASAKI:俺はサビとギター・ソロはすごく悩んだね。バカ過ぎず、渋過ぎずってところを(笑)。正直10本以上弾き倒したね。速弾きとかしても全然合うから、ライト・ハンドとか気のすむまでやってみたりして。……でも、まあいらないよね(笑)。だからなるべく口ずさめるような、記憶に残るようにとか、哀愁もあったりとか、泣きも入れてとか……練ったねぇ(笑)。

●でも結果、曲のポップ感にとてもハマったギターになってますよね。

ASAKI:インプロではできないよね。ちゃんと下味つけてやんないと、旨みは出ないよっていうね(笑)。

●なるほど(笑)。歌詞はいわゆる「見ざる言わざる聞かざる」というやつですよね。その上で「夢見よう」と。

高木:そう。それはだから相対性理論というか。俺の宇宙につながるよね。皮肉な意味で言えば、いちばんわかりやすいメッセージでもあるから。ただ、「猿が」って一言は自分でも結構グッとくるんだよね。猿の時代からなんにも変わってねえなって(笑)。あるじゃん。

●個人的には、この曲がパイロット・ソングになってもおかしくないなと思いました。

飯田:なるほどね。「Spinner」じゃなかったら、俺もこの曲だと思ったかな。

ASAKI:俺も最初に聴いたとき、リード曲になるんだろうなって思った。ポップ感あるしね。

高木:一瞬そういう話はあったけどね。「Spinner」のほうが強かったんだよな。「Evil of cell」はぶっちゃけ……出尽くした感のある曲だったりもするので。もちろんカッコイイんだけど。

YANA:まあ、ぶっちゃけどの曲がMVになってもおかしくないんだけど(笑)。

●たしかに(笑)。ライブでもすごく一体になって盛り上がりそうな曲ですよね。

高木:個人的には「What you want and what you star」(シングル「夜虹e.p.」収録)と並べてやりたいね。詞がつながるじゃん。そういうのも面白いね。

5. Cut slider

●この曲は成一さん作曲ですよね。

飯田:まず頭にあったのはあのリズムのパターンで。勢いのある感じの曲でも、またちょっと違う雰囲気の曲がほしいなと思って。それを漠然と思ったときにできたのがあのリズムだね。

●ハードで中毒性のある曲ですよね。

飯田:すごいシンプルはシンプルなんだけど、スリリングな感じになったかな。それは満足してるね。

●良い意味でみんながみんな好き勝手にやってる感じもたまらないです。

飯田:そうそう(笑)。

ASAKI:レコーディング中に東名阪のツアーで披露した曲なんだけど。俺以外の3人の音がすごいからね。俺のギターがいちばんどうでもいいんじゃないかってくらい(笑)。でも久々にアクティブ回路のギターを使ってワウでレコーディングしたんだよね。だから温かみよりは、冷たさのある音は意識したかな。あと、JANES ADDICTIONとか通っている人じゃないとこういうギター・ソロは弾けないよね(笑)。

YANA:vezでありそうでなかったというか。いや、そんなこともないのか(笑)。でもやってて不思議なんだよ。叩いててとても新鮮で。だから意外と新境地なのかなと。

●ミドル・テンポですけど、今までの曲とは異質ですよね。

YANA:プリプロの段階だと、大変そうだなと思ったけど(笑)。だけど意外とライブでは楽しくて。やっぱりかっこいい曲は楽しいよね。

●歌詞は一言一言インパクトがありますよね。

高木:これはねぇ……俺はもう言えないな、どん底すぎて(笑)。俺の中では経済の話なんだけど。ちょっと……言えないよ(笑)。

●では聴いて詞を読んでそれぞれに感じてもらいましょう(笑)。

高木:そうだね。でも「Spinner」とつながってるんだよね。

●ですよね。ただこちらはそれがとてもパンキッシュに表現されているというか。

高木:成一くんが持ってきた曲なんだけど、音を合わせる段階でもう俺的には「ケンカ売るしかねえ!」って思って。なんか、今回の成一くんの2曲は俺にスイッチを踏ませたね。

●なるほど。納得です。

高木:そう。俺から優しい感じとかを失わせてくれたよ(笑)。でもそれがすげえ嬉しかったんだよな。俺に火をつけてくれたというか。まだケンカを売れるっていうのは、音楽をやっている上ですごく嬉しい。

6. Dis log roll

●vez流のダンス・チューンですよね。ASAKIさんらしさが光る曲です。

ASAKI:俺の中でDevoとU2を足した感じというか。俺の中のUK魂が抜群に出た曲だよね。ただ、プリプロの段階で成一くんが「俺どうしたらいいの?」ってなって(笑)。

飯田:だね(笑)。でも、あんまり自分にはない部分ではあるけど、ああいうアプローチの中にも自分らしさが出るようには気をつけたかな。

ASAKI:バンドとして作っていく部分では苦労したけど、結果オーライにはなったよね。vezらしさもあるし、誰も真似できないだろうね。

●サビの爆発感も気持ち良いですよね。

ASAKI:最初プリプロで合わせたときも、フトシが「ゴキゲンだぜ!」って言ってたからね。「だろ?」ってなもんですよ(笑)。だからサビのフトシのシャウトもすげえ良くて。シャウトなのにオシャレなんだよ(笑)。

●YANAさんは得意のリズムだったりしますよね。

YANA:そういうイメージあります? 得意かって言ったら……得意なものないんで。

●いやいや、なにをおっしゃいます(笑)。すごい踊りたくなるビートですよ。

YANA:いやホントに。まだライブでやってないしね。だからこそ楽しみですけどね。みんなに踊ってほしいよね。

飯田:踊ってほしいね。だから、ライブで自然に体が動いちゃうようにするには、どうしたらいいかなって。それは良い意味で課題になるかな。

●歌詞はまた痛烈ですよね。

高木:これも……言えねえな(笑)。でもなんとなくわかるでしょ? これもね、アサキチが曲を持ってきた段階で、歌を乗せるときにピンときた。でもアサキチの曲ってどこかパーティ感があってさ。それはすごく大事で。なにせ俺にはないから。だからそれはサビで体現したかったんだよな。

●「さあ行こうぜ」と歌ってますからね。

高木:うん。同時にアサキチにはハードコアな部分もあるから、「逃げんな」って歌詞にもつながるんだけど。アッパーで良い曲だよ。

7. 夜虹

●こちらも再録となりますが、よりドラマティックに仕上がっていますよね。

ASAKI:シングルのときとは全然違うよね。あのときは俺すげえギター何本も入れてんの。それこそ20本以上やってて。だから今回は録り直すとき、ギターは1本しか弾いてないんだよね。本当にライブと同じように弾いてて。そのぶん苦労はしたけどね。

●前の「夜虹」を知っている人は、驚くと思います。

ASAKI:俺もビックリしてる(笑)。リミックスって言っても過言じゃないよね。

飯田:曲が持つ本来の聴きやすさはあるんだけど、それだけじゃない部分というか。尖っている感じというか、それが絶妙にできたよね。

YANA:俺の場合、前のときのレコーディングが特殊な感じだったから。実はけっこういろいろレコーディングの仕方を試したりするんですよ、毎回。でも「夜虹」に関しては昔から徐々に変化してきてたりして、最近ではお客さんと合唱したりしてて。その進化した姿をこのタイミングで録れたのは良かったと思う。しかもさりげなく7曲目にあるっていうのがね。

高木:曲順良いよね。この曲は最終チェックのときに思ったことがあって。毎回最終チェックは怖いんだよ。絶対「う~ん」ってなっちゃうところはあるからさ。でも一応締め切りはあるし、8月21日にリリース記念ライブがあるし、そう考えたら実際やり直しはきかないからさ。そんな中で最終チェックをやってて、1曲目から聴きながら、「ヤバい!」とか「よし!」とか言いながら進んでったんだけど、「夜虹」にたどり着いた瞬間さ……。

●感極まったようで(笑)。

泣いたっつーか……「母ちゃん俺やったよ!」って感じになってさ(笑)。この半年間が走馬灯のように(笑)。そんな気持ちに「夜虹」がさせてくれたんだよ。だから……本当の意味で優しい曲だよね(笑)。

●ハハハハハ。良い話ですね。

高木:まさか自分の曲で自分が救われるとは思わなかったよ(笑)。もちろんそういう意味で書いた曲じゃないんだけど。でもそう感じたし、みんなが歌ってる絵も浮かぶじゃん。これがまた次のなにかにつながってくれたらもっと良いよね。だからライブで一緒に歌ってくれたらさ。それだけでうれしいよ。

8. Fade

●すごいポップなんですけど、遊び心があってとても新鮮に感じました。

YANA:正直こっちは別に新しいことをやってるつもりはないんだけどね。けど、新鮮なものとして受け止めてくれるんなら、それはそれでうれしいね。

高木:でもこういうごちゃまぜなポップは得意だからね。曲としては個人的には「Sex」(1stアルバム『Heaven flower』収録)に続く感じなんだけど。

ASAKI:フトシのお茶目な部分だよね(笑)。だから面白半分なギターというか。真面目そうで真面目じゃないギターにしたんだよね。なにげにギター・ソロも長いしね。

飯田:これはアルバム全体に言えることなんだけど、パッと聴いた印象だけではない部分が意外とキモだったりするのかな。

●曲自体の印象と、音の感じは本当にすごいバランスですよね。

飯田:そう。ポップでも音はエグくエグく(笑)。

高木:でもアコギ良い感じでしょ?

●気持ちいいですよね。アレンジの妙というか。

高木:サビはね、ちょっとWEEZERっぽい感じのシンガロングが欲しかったというか。古いけどね(笑)。でも好きだからしょうがないんだよ。『Pinkerton』(WEEZERの2ndアルバム)が好きだからしょうがないんだよ(笑)。

ASAKI:「夜虹」のあとにこの曲っていう落差も面白いよね。でもポップ感ではつながってて、良いよね。

9. Sign

ASAKI:俺の十八番ではあるのかな。でも実はなにげにすごい難しいコードを弾いてて。たぶんコピーするのは不可能だと思う。あえてちょっと気持ち悪さも残してたりね。実はテレキャス使ってたりもするし。重たすぎず、軽すぎずってラインでね。

YANA:俺の中ではネオアコだね。でもさわやかな感じだよね。こういうのは今までのvezにはなかったかな。だからこそ意味があるかなと思って。意外とこういう曲こそがみんなの本質だったりするのかなって思ったりする。こういう曲をスッと作れたというのは。

高木:YANAさんの曲で「真と偽」(シングル『GHOST』収録)があるじゃん。その流れっていうのかな。なんか、わかりやすい詞にしたかったんだよね。

●曲も言葉もとてもまっすぐですよね。

高木:「GHOST」からの流れを考えたらすごく自然な曲だよね。

ASAKI:だね。俺のメロとフトシのメロがちゃんとマッチしてて。自分でうっとりしそうだよね。ライブの本編のラストとかにすごく合いそうだよね。

高木:「夜虹」、「Fade」、「Sign」はね、通して聴いてほしいかな。それでひとつの心を表現してるというか。温かみのあるものを表現してるね。

●そうですよね。とても心地良い時間です。

高木:アサキチはたぶん俺のそういった部分が好きなんだと思う。アグレッシブな部分より。そんな気がするかな。それはすごい……ありがたいよね。なんかすげえ…遠まわしに優しくされてる気がするね(笑)。

●それはもう、こういう詞にもなりますよね。

高木:うん。人と人の絆とかさ、それこそファンとのつながりとかさ、それはもうちょっとしたサインひとつで良い気がする。そんなに言葉とかいらないじゃん。そのサインが……いちばんな気がする。

10. ill,,,

●これも得意の曲ですよね。まさに、というか……。

高木:説明いらなくない(笑)?

飯田:そうだね(笑)。もう「楽しんでー!」って感じ。

ASAKI:説明不要のパーティ・チューンだからね。でも哀愁は忘れないっていうね。

YANA:速いよね(笑)。でもリフがグランジ色強くて良いよね。意外とこういう曲って、今vezぐらいしかやってないのかなとも思うし。

飯田:そうそう。もうライブでも何回かやってるけど。毎回手が吊ってるからね(笑)。

●ハハハハ。でも毎回そういう曲は入れちゃいますよね。

高木:だってライブ楽しいからね。それがいちばんじゃん。ただ、楽しいがゆえに詞は暗いよね(笑)。そこは申し訳ないんだけど。でもふつうに生きている人たちにも言えることだとも思うから。身に染みてくれたらいいけどね、誰もが。ほら、俺今回は斜に構えてるから(笑)。

●ハハハハ。たしかに歌詞はそうですよね。そしてそれを象徴するような曲です(笑)。

高木:ふてくされてるからね(笑)。病気再燃してるから(笑)。

11. Reject it – One thing

●アルバムのラストを飾る曲ですが、今までにない終わり方ですよね。非常にハードコアなナンバーです。

ASAKI:まさかの大暴れね(笑)。

YANA:でもしっとりと終わるんじゃなく、こういうパターンも良いなって。

●これでアルバムが終わっていくので、またリピートしちゃうんですよ。

YANA:でもvezはけっこうアルバム最後まで聴いたら1曲目に戻りたくなるような流れになってると思うので。今回はちょっと違った角度の締め方になってるけど、それでも1曲目に戻りたくなっちゃうのが面白いなって。リズム的にも意外とない曲だし。

●ライブでどうなるのか、楽しみです。

飯田:(打ち込みとの)同期もあるから、ライブでどういうふうにやろうかなっていうのはリハとかで練っていかなきゃとは思うけど。音源としては完成されてるよね。

ASAKI:打ち込みはけっこう実験的に入れてみたんだけどね。でも本当に極悪な曲だからさ。ギターとかなにしていいかわからないっていうか、いらないんじゃないかって思う(笑)。

●しかし初めて聴いたときは驚きました。フトシさんの「1・2・3・4!」とか。

ASAKI:やっちゃってるよね。フトシすげえテンション高いもんね。

●音源でこういう歌い方のフトシさんは久々じゃないかなと。

高木:でもそれはやっぱりね、成一くんが俺の心のビッグ・マフを踏んでくれたからさ。いや、心じゃないな、喉か(笑)。

ASAKI:しかしみんな自分たちの歳のことを考えてないよね(笑)。ワンパクすぎるよ。悪い大人で申し訳ないね(笑)。

高木:でも本当、このアルバムでやっとバンドになったなってすげえ思うんだよ。

●そうですよね。聴いていて思ったのが、誰が作曲したかというのが、まったく気にならないというか、全部が全部vezとして成り立ってるなって。

高木:そうそう。アサキチとも言ってたんだけど、今回作曲のクレジットはvezで良いんじゃないかって話はしてたの。

ASAKI:そうだよね。元々俺がやってきたバンドでも、誰が作曲とか気にしてはやってなかったんだけど、今回は改めてvezでそんなふうになれたかなって思うよね。だから全曲作曲はvezでいいかなとも思ったんだよね。

高木:ただアイデンティティとしてクレジットは明確にあったほうがいいのかなって。でも全曲みんなでスタジオで作ってるので。たとえば「Evil of cell」は俺の作曲になってるけど、あのサビのあのギターは俺には完全にない部分だからね。そういうところも楽しんでもらえたら嬉しいよね。

■ Interview/Text by AKiRA